セントラルヒーティングとは?セントラルヒーティングのメリットとデメリット

セントラルヒーティングって知っていますか? 欧米では当たり前の空調設備ですが、日本では北海道以外ではほとんど普及していません。日本の空調設備は、エアコンや石油ストーブなどが主流ですよね。日本では、なぜ広がらないのでしょう? そこで今回は、セントラルヒーティングについて、仕組みやメリット、デメリットなどを探ってみました。
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©gettyimages

1:セントラルヒーティングとは?

セントラルヒーティングとは、「ヒートポンプ温水暖房機」などの熱源装置を設置し、そこから各部屋に熱を送り出して温める暖房システムのこと。ストーブやエアコンといった一般的な暖房器具が温かい空気を出して、周辺のスペースを温めるのに対して、部屋全体を満遍なく温める仕組みから、「全館集中暖房」「中央暖房」とも呼ばれています。

海外では当たり前のように普及していますが、日本では北海道など、寒冷地を除くと、あまりなじみがありません。

 

2:ボイラーがカギ!セントラルヒーティングの仕組み 

1FF式ファンヒーターの巨大版!?

セントラルヒーティングは、石油もしくは電気、ガスなどを用いて空気を暖めて、各部屋に分配します。FF式ファンヒーターを巨大にしたものとイメージしていいでしょう。 

燃料としては石油やガスが使われ、建物の種類や規模によってタイプが異なりますが、効率性、経済性を考慮すると、小規模の住宅向けとは言えないでしょう。

2)温水ヒーティングが主流

セントラルヒーティングは、大きく2種類に分けることができます。

ひとつは、温水タイプのもので、ガスのボイラーや電気、油で作られた温水をそれぞれの部屋に配分し、それをラジエータと呼ばれる放熱器で空気の熱を部屋に届けます。

もうひとつは、温風タイプです。水を使う温水タイプに対し、温風タイプは空気を送るのですが、広い室内をまんべんなく暖めることが難しいため、今ではあまり使われていません。

一般的に使われている温水タイプは、熱交換するボイラーが命。これが故障してしまうと、使えなくなります。特に極寒の状態で故障してしまうと、とんでもないことに。また、その設置にはかなり大掛かりな工事と費用がかかります。

ただし、石油ストーブなどと異なり、ラジエータから燃焼ガスの発散がまったくないので、安全性に優れていると言えるでしょう。

 

3:電気代や冷房は?セントラルヒーティングのメリット・デメリット 

セントラルヒーティングは、とても利便性が高いのですが、その一方で、デメリットもあります。そのメリットとデメリットを簡潔にまとめてみました。

1)セントラルヒーティングのメリット

安全性が高い・・・燃焼させないので火災のリスクがほとんどない

綺麗な空気を保つ・・・空気が乾燥せず、ホコリが立たない

温度を均一に保つ・・・どの部屋の温度も一定になるため、寒い部屋がなくなる

静かである・・・気になる運転音がない

メンテナンスが簡単・・・フィルターがないのでパネルのホコリを払うくらいでOK

2)セントラルヒーティングのデメリット

初期費用が高い・・・ボイラー設置などの費用が必要

暖まるまで時間がかかる・・・空気を送り込むため、すぐに暖まらない

断熱材に左右される・・・断熱性がない家や建物だと暖かい空気が逃げてしまう

3)セントラルヒーティングの電気料金は?

メリットもたくさんあるセントラルヒーティングだけに、どのくらい電気料金がかかるのか、気になりますよね。確たるモデルがないので、セントラルヒーティングが普及しているという北海道の電力会社である北海道電力の料金を示した資料(20149月)から参考例を見てみましょう。

北海道電力によると、エコキュート(1.5kW)、ヒートポンプ暖房システム(4.7kW)を設置している場合、家庭向けプラン「eタイム3」を使用してかかる年間電気代は285,755円と試算されています。

これは電気だけで、石油・ガスボイラーなどを使用した場合については、金額は変わります。

4)「暑い!」「冷えすぎ!」となっても調整しにくいのもデメリット

ホテルなどに宿泊して、「暑くて眠れない……」「もっと暖かくならないの?」と思ったこともあると思います。

ホテルなどセントラルヒーティングを採用している建物では、部屋ごとに温度管理するのが難しいため、自分の好みに合った温度にならないことが少なくありません。

冷房が効きすぎて寒い、暖房が強くて暑い……こうした場合は、自分で衣服を調整してしのぎましょう。

 

4:日本での普及率は?北海道以外でのセントラルヒーティングが広がらないワケ

1)普及している北海道ではコタツ要らず?

日本におけるセントラルヒーティングの普及率ですが、ネットなどでくまなく探してみても確たる統計はありませんでした。50年ほど前の雑誌の記事に、「5%」と記されているのが目に留まる程度。ただ、北海道は普及率が高いとされています。

ちょっと話は変わりますが、「ウェザーニュース」の調査によると、北海道のコタツ普及率は23%で、全国最下位という結果に。セントラルヒーティングで部屋全体が暖かくなれば、コタツは要らないのかもしれませんね。

2)寒さ対策よりも暑さ対策のほうが大事

それではなぜ、北海道を除くと日本でセントラルヒーティングが広がらないのでしょうか? 北欧の国では、ほぼ100%というところもあるようですし、欧米では当たり前の暖房ツールなのですが……。

日本では、部屋ごとにエアコンを設置するといったように、人のいる場所だけを暖める、あるいは冷やすという考えが根付いていますが、それは、節約という概念が行き届いていることが理由として考えられます。

また、日本の住宅は、夏の蒸し暑さに耐えうるため、風通しの良さを第一に考えているという点も見逃せません。

それはあるか昔からから同じで、鎌倉時代末期から南北朝時代に活躍した吉田兼好が記した徒然草にも「家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬は、いかなる所にも住まる。暑き比わろき住居は、堪え難き事なり」とあります。夏の暑さは耐えられないけど、冬はどのようにでもなる……これが伝統的な考え方なのです。

日本の家は、夏の風通しと湿度の調節が重視され、冬は部屋ごとに仕切って暖房するという考えが主流。セントラルヒーティングが広まらない理由としては、確たるものはないながらも、節約と気候によるものが大きいようですね。

5:まとめ

学生のころ、北海道出身の友人や、ドイツから遊びに来た留学生から「なんで、家の中をこんなに寒くするんだ!」と言われた経験があります。当時はその意味がわかりませんでしたが、今思えば、彼らがそう嘆いたのも納得!

でも、ここ日本においては、冬の寒さよりも夏の暑さのほうが厳しい……というのもまた事実なので、難しいところですね。

 

 【参考】

北海道電力「お客さまへのご説明資料について」

ウェザーニュース「大都市ほどこたつ離れ 実は北海道より沖縄の方がこたつを持っている!」